それ、本当にAGA?円形・びまん性脱毛症との違いを医師が解説


「最近、髪が薄くなってきた…これってAGAかな?」
そう思ったことがある方は多いのではないでしょうか。
実は、薄毛の原因はすべてがAGA(男性型脱毛症)ではありません。
円形脱毛症やびまん性脱毛症など、見た目が似ていても原因も治療法もまったく違うタイプの脱毛があります。
この記事では、医学的な視点からAGAと他の脱毛症の違いをわかりやすく解説します。
「自分の薄毛のタイプを知りたい」という方は、ぜひチェックしてみてください。
AGAとは?ゆっくり進行する男性型脱毛症
AGA(Androgenetic Alopecia:男性型脱毛症)は、男性ホルモンの影響で髪が徐々に細く短くなっていく病気です。
- 原因
体内のテストステロンが「5αリダクターゼ」という酵素によってDHT(ジヒドロテストステロン)に変化し、このDHTが毛根に悪影響を与えます。
その結果、髪の成長サイクルが短くなり、太い髪が生えにくくなってしまうのです。
- 特徴
- 生え際(おでこのライン)や頭頂部から薄くなる
- 徐々に進行する(突然抜けることは少ない)
- 抜け毛が細く・短くなる
- 家族に薄毛の人がいることが多い
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円形脱毛症との違い | 自己免疫が関係する“突然型”の脱毛
円形脱毛症は、免疫の異常反応によって毛根が攻撃され、部分的に毛が抜ける病気です。
- 特徴
- 突然、円形(コイン状)のハゲができる
- かゆみや痛みがないことが多い
- ストレスが引き金になることもある
- 子どもや女性にも多い
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AGAとの見分けポイント
| 比較項目 | AGA | 円形脱毛症 |
| 進行の仕方 | ゆっくり進行 | 突然抜ける |
| 抜ける範囲 | 生え際・頭頂部 | 円形・部分的 |
| 原因 | 男性ホルモン | 自己免疫反応 |
| 治療 | 内服薬・外用薬 | ステロイド・検疫抑制療法 |
びまん性脱毛症との違い | 全体が薄くなるタイプ
びまん性脱毛症は、頭全体の髪が均一に細くなっていくタイプで、特に女性に多い脱毛症です。
- 原因
- ストレスや栄養不足
- 出産後のホルモンバランスの変化
- 甲状腺の病気や薬の副作用
- 過度なダイエット
- 特徴
- 頭全体のボリュームが減る
- 分け目が広がる
- 髪にハリ・コシがなくなる
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AGAとの違い
AGAは「男性ホルモン」が主な原因で特定の部位から進行しますが、
びまん性脱毛症は「ホルモン・栄養・ストレス」など複数の要因が絡むため、全体的に薄くなるのが特徴です。
脂漏性脱毛症・牽引性脱毛症など、その他の薄毛タイプ
薄毛には他にも、頭皮環境や生活習慣が関係するタイプがあります。
- 脂漏性脱毛症
皮脂の分泌が過剰になり、毛穴が詰まって炎症が起きるタイプ。
フケやかゆみ、赤みを伴うことが多く、皮膚科での治療が有効です。
- 牽引性脱毛症
髪を強く結んだり、同じ場所に負担をかけ続けることで起こる脱毛。
ポニーテールやエクステを長期間している女性に多く見られます。
自分の薄毛タイプを見分けるチェックリスト
以下の項目を参考にしてみましょう
| チェック項目 | はい / いいえ |
| 生え際や頭頂部が徐々に薄くなっている | |
| 家族にも薄毛の人が多い | |
| 抜け毛が細く短い | |
| 円形にごっそり抜けた箇所がある | |
| 頭皮にかゆみや赤みがある | |
| 全体的にボリュームが減った |
- 上3つが当てはまる → AGAの可能性が高い
- 中央1つ → 円形脱毛症の可能性あり
- 下2つ → 脂漏性またはびまん性脱毛症かもしれません
正確な診断のためには医師の診察が必須

薄毛の種類を正しく見分けるには、専門医による診断が欠かせません。
頭皮の状態やホルモン・血液検査を行うことで、AGAか他の脱毛症かを明確に判断できます。
誤った自己判断で育毛剤を使い続けても、原因が違えば効果が出ないどころか、
症状を悪化させることもあります。
まとめ:AGAは「進行型」、他の脱毛症は「回復型」も多い
AGAは放っておくと確実に進行するタイプの脱毛ですが、
円形脱毛症やびまん性脱毛症の中には、原因を改善すれば回復が見込めるものもあります。
だからこそ、「なんとなくAGAかも」で終わらせず、
早めに専門クリニックや皮膚科で正確な診断を受けることが大切です。
薄毛の種類を知ることが、最適な治療への第一歩です。
医療はもっと身近になる。
